運とか顔とか

その1、田之上911日ぶりの先発勝利

おとつい田之上が991日ぶりに先発勝利をあげた。そのインタビューで
「うちは後の投手がいいんで安心していました」
と答えた。
僕と相方は複雑な心境でその言葉を聞いていた。
だって、一昨年のシーズンのことを考えたら、とても素直に聞ける発言ではないからだ。全然投げれなかった昨年はともかく、一昨年の田之上はまさに「運」に見放されたシーズンを送ったのだから。
一昨年の田之上はシーズンの序盤必ずしも調子は悪くなかった。一昨日と同じように勝ち投手の権利を持って降板というのは多かったのだ。しかし、中継ぎが打たれて勝ち星が消えるというのが繰りかえされた。まあこれが負けがその投手につくってんならまだ救われたと思う。ところが、あの年シーズンを制し日本シリーズでタイガースとの死闘の末栄冠を勝ち取った閉店前の大サービス打線はその後再逆転、結局勝ち星は他の投手なんていう、田之上には一番つらい結果に終わることも少なくなかった。
そのためか投球のバランスを崩した田之上は長い長いトンネルに入っていったのだった。
前回の5月29日の登板で中継ぎが打たれた時*1は「ああまたかよ」という気になったかもしれない。
そんな田之上のあの言葉、僕らは涙なくしては聞けない。
田之上おめでとう、今年も神内や吉武が打たれると思うけどがんばれ!!
その2、MIster SEroの行方
昨年レギュラーシーズンの中盤、尾花コーチが
「三瀬がいなかったと思ったらぞっとする」
といったらしい。当初想定したクローザー、水田が撃沈*2。そんなホークスの守護神として颯爽…ではなくふらっと現れたのが三瀬であった。結局最優秀救援投手を獲得ってなことであったのだが、尾花さんの言葉をラジオのレポートで聞いたとき、体温が1度くらい下がった。
そんな三瀬が今窮地に立たされているのはご存知の通りである。
実をいうとインターリーグが始まる前、嫌な予感がしていた。
確かに4月をMVP*3級の成績で終えてはいたんだが気になることが二つあった。
一つは登板過多。4月後半三瀬は8回途中からマウンドに登ることが多くなっていた。それをみながら「これは潰れるぞ」という気にもなった。
しかし、それ以上に気になっていたのは城島の「今年の三瀬は顔で抑えられる投手になった」という言葉だった。実際見ていて球の切れ等は去年の方が上であったのだが、パ・リーグの右打者は去年の"あのほけーとした表情とは裏腹の"足に当てても知らんけんねー"スライダーを必要以上に意識していたし、三瀬は打てないという先入観が勝っていたのだろう。
で、顔を知られていないセのバッターにはどうかなーと思ってたら、この状態だ。
元々佐々木のフォーク、高津のシンカー、豊田のコントロール、岩瀬の投球術、ロケットボーイズ石井・亮太のスピードというような絶対な武器がない三瀬が、あそこまでの実績を残せた原因は親しみやすい顔とは真逆の「向こうっ気の強さ」だったんじゃないのだろうか。
三瀬、アニキもああいってくれてるんだ。開き直れ。
王監督も「ホームラン打たれろ」って言ってくれてるんだ。四球は止めてくれ。
僕らは、試合後の「あれ、何だか今日も抑えてしもーた」という三瀬の顔が一日も早くみたい。

*1:この時はチームも負けてしまったけど

*2:水田が九回同点に追いつかれ、その裏ズレータがサヨナラってのはドームで見ていた。

*3:杉内も「うちにもっと凄い人がいるんで」と答えている。ちなみに杉内は5月も「渡辺さんだと思ってた」正直な感想を述べている。