幅広い知識というくせに

そこは非常に欺瞞に満ちている上に視野狭窄である。
なにが「小・中学生に、はば広い知識(ちしき)を身につけていただきたいという目的から、この「知識の泉」という名前をつけました。」だ。
坂上田村麻呂の項の

坂上田村麻呂蝦夷(えぞ)を征討(せいとう)した将軍として有名であるが、武力ばかりの人物ではなかった。実際、桓武天皇(かんむてんのう)に「武力で一時的に治めることはできても、しばらくすると反乱が起こることになる。蝦夷(えぞ)の民衆が我々と同じような文化の生活習慣になるようにしていくことが大切である。」と進言している。実際、坂上田村麻呂蝦夷(えぞ)の民衆に優しく接し、とらえた蝦夷(えぞ)の首領2人を処刑することを最後まで反対したという。坂上田村麻呂は、朝廷の蝦夷(えぞ)支配を確立した人物といえるだろう。

一方的で一面的な「文明化」を推進することを今時無批判に賞賛してどうする。アホらしい。
あと野口英世

自分の命の危険をかえりみず、人の命を救おうと、黄熱病(おうねつびょう)の研究に取り組んだ野口英世は本当にすばらしい人物である。医学が進んだ今の時代でさえ、未開発の地で、病気に苦しむ人を救おうとする人物は少ない。病気で苦しむ人を救うことが正しいことであることは、だれにでもわかる。だが、それを行動にうつすとなると、なかなか考えているようにはいかないものだ。野口英世にとって、医学によって自分の左手を治してもらったという感激がとても大きかったのであろう。 「人のために何かをする」そのような野口英世の態度を賞賛しつつ、その態度を私たちも、もちたいものである。

まず、病気・病原体の研究は別に「未開地」でやる必要はない。設備の整った場所で行う方がずっと効率的だろう。そういういったことも含めて現在でも「病気」の研究に勤しんでいる人はたくさんいる。少ないなんて勝手に決めてはその方々に失礼だ。
まさか、金がどうのこうのいうつもりではないだろうな。もしかして、野口英世に関する「金」を巡る壮絶な物語をしらないのだろうか。いや、おそらく知っておいて隠蔽しておるのだ、児童に教えるのは「不適当」となる判断の元に。
しっかり教えるべきであろう。英世は何故詐欺的行為で学資を搾り取ったのか。そして身上を潰してまでスポンサーたろうとした人々がいたのか。
藩閥政府への「会津若松」のルサンチマンから来る英世への期待・「帝大」の学問帝国主義へのカウンターといった、人間野口英世を見るに欠かせないコアな部分をファンタジーのオブラートで包んで児童に与えようなんて魂胆が、堪らなく浅薄。
滅んでほしい。