エレック料理

『あなたのエレック料理』
〜第3回エレック家庭料理コンテスト入賞作品集〜
昭和46年3月1日発行
松下電器・電子レンジ事業部発行

今まだあるのかどうか判らないが(グーグルでもヤフーでも見つからなかった)、JESC(全国料理学校エレック研究会)というのが催していたコンテストで入賞した料理を集めた本。
巻頭の事業部長の言葉からして妙な味がある。

今回の名人賞を見ましても、電子レンジと冷凍庫―近代的な調理器具を縦横に駆使されているご様子には、お台所改革の力強い足音を聞く思いでございます。

島耕作が関西の代理店のおっさんに「トースターぐらいで革命なんて」とダメ出ししてたのも既に20年近く前なのを考えると「隔世」という言葉を初めて入力変換してみたくなる。
でもって、「審査員の先生方々の「審査雑感」も笑える。

飯田深雪先生
エレックもついに初歩から応用に進んできたなという感激でいっぱいです。(略)
ただ、少し注文をつけさせていただければ,ムリをしすぎたものがありました。もっと素直にエレックの特徴を出しても良いのではないでしょうか。

ムリって何でしょう。さっぱり分りません。まあ、確かにこのころの電子レンジには「オーブン機能」も「スチーム調理」もないが、どうムリさせるんだろう。

王馬先生
人間の知恵がエレックを通して伸びて行きますのが目に見えてわかり、指導にあたらせて頂いていることを光栄に思えます。

何て大袈裟なと思ってしまう。しかもこの人「電子レンジは蒸し焼きに近い」なんてそれこそムリなことを言ってたりする。
で、優勝作品(名人賞というケッ作なネーミング)はあまりもんのビスケットとマシュマロとバターと生クリーム*1を電子レンジにかけて凍らせた(だけ)のものなのだが、凍らせることは"ホームフリージング"と記されていて特別なことだったらしい。
そういえば「今使ってる冷凍冷蔵庫が」という電話をとったときは閉口したなぁ。こっちが「冷蔵庫ですね」というと「冷凍冷蔵庫です」ってさも冷凍庫がついてることが特別なことみたいに思ってる人で、会話の中でつい「冷蔵庫」といってしまうと、その度に「冷凍冷蔵庫です」っていちいち訂正されるってなかんじで。この人日常でもいちいち「冷凍冷蔵庫」なんて言ってるのかななんて思って…
閑話休題。そのホームフリージングもそうだが、エレックも「チン」に完璧に駆逐されている言葉だもんな。
で、調理例なのだが今のレシピ集には絶対はいんないのが多い。というのもAとBを混ぜてエレック1分さらにCを混ぜてエレック10秒とかそんなんばっかり。ガスレンジなりIHヒーターでまとめてやった方がはるかに簡単なもんばっかり。あ、これがムリっていうことなのか。だったら半分以上はそうだぞ。ただ、それをムリといいだすと「電子レンジ」自体の必要性ってあんまり感じられなくなるからなぁ。
あと、「さつもいものくりぬき焼き」ってので、何と11歳のガキ、しかも男の子が入賞していたりする。神戸市垂水区東舞子町の*2小学4年生なんだが。これがけっこうおいしそうだったりして。で、肉桂粉って何?シナモンのことか?

*1:本文中ではナマクリーム

*2:何でそこまで細かく載ってるんだ