バラエティ創刊号・・・その3読者プレゼントとハルキ映画


バラエティ創刊号の読者プレゼントは、映画を中心としたカルチャー誌らしく『人間の証明』の試写会招待・サントラLP・Tシャツ、『獄門島』『世界が燃えつきる日』『鷲は舞いおりた』等8作品のスチール写真セットに、そこは角川書店といったところの本6冊である。
上の写真の上左→上右→中左…といった順に並べてみると、

池田満寿夫エーゲ海に捧ぐ(1977年)』、つかこうへい『弁護士バイロン (1977年)
赤江瀑上空の城 (1977年)小松左京ゴルディアスの結び目 (1977年)
ノーラン&ジョンソン『2300年未来への旅―ローガンの逃亡 (1977年)』、フランク・フェリータ『オードリー・ローズ (1977年)

これは偶然なのか意図的なのかは良くわからないけど、外国作品を除いた4作品のうち、池田満寿夫を除いた3人は後にいずれもハルキ映画の原作者となっている。



初出は『野性時代』、しかもハルキが手がけた作品で初めて芥川賞を受賞したゆえに、五木寛之との対談でやはり角川書店においてのハルキの仕事の中でも重要な位置を占めている作品(イベントと表現)と認めている、そんな小説の映画化をどうしてハルキ自ら製作しなかったのかが少し気になる。
エーゲ海に捧ぐ』劇場パンフレットの池田のインタビューによると、77年のうちに美術監督の高橋秀より、熊田朝男の製作で監督をしないかという打診があって、翌年の1月にはローマで熊田と意気投合して監督することを決めたということなので、この創刊号が出た時点ですでにその話が出ていたということかもしれない。
それにしてもタイアップソング「エーゲ海のテーマ〜魅せられて」(ワコールCMソング―パンフにはワコールの広告が掲載されている)が大ヒットしレコード大賞受賞なんていうのは、如何にもハルキ好みのハナシであるのに・・・


ま、78年の初めのハルキは松田優作主演で『オイディプスの刃』の製作にとりかかっていたからひとまずそんな余裕はなかったのかもしれないけど。
公開前に『シナリオエーゲ海に捧ぐ』で充分商売になったから良いかっ。