ビッグマイナー対リトルメジャー

かって、そう、ざっと十年ほど前、高信太郎によって、ぼくと吾妻はキャッチフレーズをつけられた。
ぼくは"リトル・メジャー"と、そして吾妻は"ビッグ・マイナー"と。今だからいうが、ぼくは秘かに、吾妻の呼称を羨んでいた。
いしかわじゅん「ビッグ・マイナーの潜む場所」『漫画の時間』87頁

ぱるぷちゃんの大冒険

ぱるぷちゃんの大冒険

*1
を続けて読んだ。この二つの共通点をSFチックなギャグマンガと括っていいのかどうかわからんが、それでなんとなく伝わるんじゃないかと思う。『ドドンパ主義』は「週刊平凡パンチ」に連載された作品の、『ぱるぷちゃんの大冒険』は「マンガ奇想天外」等に掲載された作品の単行本である。この二つの出版社の社員の給料を比較する*2だけなら、確かに"メジャー"と"マイナー"という呼び名はぴったりするのかもしれないし、、今現在においてのその作品の入手の容易さを考えたら文庫化され、新刊がネットでも書店比較的手に入れることが出来る方を確かにビッグだといってもいいかもしれない。


ただ、これがそれぞれの他の作品を比較したんだったら、そうは簡単には納得がいかないかもしんない。
いしかわじゅん業界の濃い人 (角川文庫)』の「大沢在昌」の項で自分自身のことを

まだ百万部売れたことも、ベストセラーランキングの1位になったことも、アニメ化されたこともない

と書いてんるんだけど、「アニメ化」といえば吾妻ひでおの作品の「アニメ化」されたうちの一つ、『ななこSOS』にいしかわじゅん(をモデルしたキャラクター)が登場していて、吾妻は登させた理由を

ななこSOS (1) (Mag comics)

ななこSOS (1) (Mag comics)

の「誌上DJ」*3

SF大会などで、いしかわじゅんさんや大友克洋さんとよく会う機会があったもんで、なんとなくキャラにしてしまった

といってる。この二つのマンガに対していっしょくたに直截「SF」と書くことに若干の躊躇いを感じて「チック」なんて余計な言葉をくっつけたのは名著

戦後SFマンガ史 (ちくま文庫)

戦後SFマンガ史 (ちくま文庫)

の表紙を堂々と飾っている吾妻に比べていしかわにそのイメージが…ってことはともかく、ここで「ビッグ・メジャー」も「ビッグ・メジャー」、「ウルトラ・スーパー・ビッグ・メジャー」の大友克洋の名前が出てきてることに驚く人もいるかもしれないけど、まあ『童夢』発表後とはいえ、ハルキ映画『幻魔大戦』のキャラクターデザインを担当して、

お茶の間までその名前が轟いたばかりのころなんで…っと、またいつもの「映画ジャケ」の話になるのはやめとく。

*1:の1985年版

*2:https://twitter.com/TomoMachi/status/13408978000

*3:しゃべることを「DJ」と表現してるがあのころらしいね