1977年の夏休み

HOUSE [DVD]

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1977年夏休みの東宝の大看板「百友映画」『泥だらけの純情』との併映だった大林宣彦劇場用映画初監督作品(そういえば昨日の『濡れて打つ』も金子監督の"処女作")。

ああ面白かった。

もういきなり一日拘束友情出演で先生役の檀ふみ(結婚間近(笑))からして、大林監督が暖めていた企画がお父上壇一雄『花筐』の映画化だったから。そんでもって、主演の池上季実子の父が大林がオープニングを演出したTV『木枯らし紋次郎』の原作者の笹沢左保なんて配役も。
笹沢といえば『温泉すっぽん芸者』にもふらっと出てるんだけど、その時いっしょ出てた菅原文太のそっくりさん(というかシベリア文太に見える)がトラック野郎として渋滞シーンで怒鳴ったり、寅さん芸人がラーメン屋の客として登場するなど東映、松竹の看板作品もネタ(でもさほど笑えない)にしてるなど、それまでの日本映画では考えられない画期的な作品といわれるだけはある。だからだろうかその寅さんシーンで「おにいちゃん」って声がかぶさるんだけど、さくらというより「くりいむレモン」の亜美ちゃんに聴こえる。当然「くりいむ」はずっと後の作品なんでそんなことは絶対ありえないんだけど、この映画の重要なアイテムの一つが猫で、この映画おっぱい出してる池上がTVドラマ演じた『愛と誠』早乙女愛の劇場版でデビュー、その役名を芸名をした早乙女愛が後に『女猫』でおっぱい(サイズは早乙女の圧勝)をさらすのといっしょに予見したような気がしてくるから不思議だ。

それにしても、この作品ったら、僕の持ってる映画の本にやたら登場する。簡単に紹介されてる

大特撮―日本特撮映画史 (1980年)

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をはじめ、
Japanese SF Movies―日本特撮名鑑 (NEKO CINEMA BOOK―JAPANESE SERIES)

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大林映画を「ハウス系」と「尾道系」に分けて考察している池上季実子ではなく「元祖いじめられアイドル」(比較してるのが『フェノミナ』のジェニファー・コネリー)大場久美子にスポット当てて*1

何にせよ。『HOUSE』がその後の80年代アイドル映画、さらに、90年台のホラー映画ブームに強烈に与えたことは間違いないのである

と言い放った荒井倫太郎の文章と

90年代美少女ホラーの"祖"となる作品は何かと問われると、まず多くの人が大林監督の『HOUSE ハウス』(77)を挙げるのではないだろうか。だが、ここで取り上げる美少女ホラーの流れと、直接的にこの作品はリンクしない

と分析した尾崎一男の文章が同居してる

アイドル映画30年史 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

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などなど。


こう見るとこの映画が特撮、SF、ホラー、エロ、アイドルの要素を併せ持ったということなんだけど、もう一つ神保美喜演じるクンフー(この役名も時代だなー)のアクションは『小林小女』なんかよりずーっとカッコイイことも付け加える必要があるだろう。ちなみに彼女は「スター誕生」出身でデビュー曲「はじめてのワルツ」の作詞は阿久悠である。


てこって今から2回目を見ようと思うんだけど、注目点はそのクンフー格闘→虐殺→グニョグニョシーンで映ってるおっぱいが誰のもんか。大きさ的には松原"お魚になったのワ・タ・シ"愛なのかなぁと思うが、彼女がお魚になるのはまだあとだしなぁ。

『荒野の七人』を目指したんだね。

うーん、結局誰のかわかんないなぁ。というのもメロディやスィートもおっぱい撮ってるみたいなんだよね。
てこって、映像特典を見る。
要は大林監督その他にによる"『HOUSE』がどんだけ画期的な映画だったか"の説明。上掲の本のいくつかでも触れられているけど、この映画がいわゆる「メディア・ミックス」の魁だったことは事実で、公開前にラジオドラマをニッポン放送で流したなんてのはまさに画期的で、さらに画期的なのが映画とは別ストーリ、別キャストなこと。
ラジオが岡田菜々、木之内みどり秋野暢子林寛子松本ちえこ、三木聖子、松原愛。
映画が池上季実子大場久美子神保美喜、松原愛、宮古昌代、佐藤美恵子、田中エリ子ってな布陣。
ダブってるのが松原のみで、それ以外はラジオがずらっと現役アイドルを並べてるのに対して、映画が池上、神保、以外はほとんど無名というか新人というかな娘を起用している。
まあ、あんなメチャをラジオの面々(それ以外の現役アイドル)で出来るはずもないからってこともあるだろうけど、それ以上に「この映画でスターうんじゃる」ってな

な夢と気概を感じる。大場久美子が「コメットさん」「スプリングサンバ」で人気沸騰すんのはこの後だから、念のため。

それから興味深いのが角川春樹とのアレコレ。この後二人が強力タッグを組んで、「ハウス系」のケッ作

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尾道系」の傑作
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を生むのが興味深い。

ついでに「新人使って映画でスターにしちゃる魂」が角川春樹に憑依して

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になっていったり、大林が一本も撮ってくれてないからか典子さんが・・・

*1:くしくもその前の頁が劇場版『愛と誠』